若きウェルテル柴山の悩み その1
2014年11月26日~27日(渡豪10か月目・ラウンド6か月目)のやりとり。
柴山→田村さん
田村さん
こんにちは。柴山です。
ちょっと悩みがあるので相談させてください。
うまく説明できないのですが、簡単に言うと、早くもやりきった感で満たされてしまい、WWOOFの途中なのに脱力感でいっぱいになっています。新しく何かをやる気がおきないです。
以下が思い当たる原因です。(割合の大きい順)
・「将来の方向性を模索する」という目標を達成できたので、ワーホリを続けるモチベーションが下がっている。
・やりたいことがここではできない or 難しい
具体的には、自分のホームページを持ちたい。英語ではなく、日本語からやり直したい(ウーフとウーフの間にアデレードのシティに数泊した時も、図書館で日本語の小説を一日中読んでました)、など。
なので、「予定前倒しで日本に帰ろうかな」という考えが頭をかすめることもあります。
・最近 Facebookで、まんまるや(シドニー時代のジャパレス)のスタッフがほとんど変わっていないことを発見。あの時の楽しかった記憶がよみがえり、早くみんなとまた働きたい衝動に駆られてます。また、SCE時代の友達から最近よく「いつ帰ってくるの?」と聞かれ、「あと少しで帰れるのに!」とじれったくなります。またみんなとバカ話したくてたまらないです。
・正直、旅疲れしました。町を移動→住むところや仕事やウーフなどを探す、という一連の行程がルーティンワークと化してしまい、これを続ける意欲がありません。早く快適なシドニーで腰を下ろしたいです。
・前のWWOOF(子供がいたところ)は森の仙人みたいな暮らしでした。お世辞にもキレイとは言えない手作りの小屋で暮らし、料理は全部オーガニックだから味付けなんてしなくても十分おいしい。トイレは穴とビニールの屋根があるだけというシンプルな作り。「こんな暮らしも素敵だな」って思っていました。
でも今の WWOOF はそれに比べるとチャラいです。住宅地の中にある小綺麗な一軒家で小さいガーデンをいじっています。冷蔵庫の中も、IGA の Gold& Black が多いです。 ここは決してハズレではありませんが、どうしても前と比べてしまいます。
・WAの自然は緑が深く、空が澄んでおり、雲が低いから迫力がありました。当時は「自然には興味ない」って思ってましたが、今思うと知らず知らずのうちにあの景色にパワーをもらっていたんだと思います。でも、SAは自然がショボいです。目に入ってくるのは緑よりも茶色が多いですし、雲も迫力がありません。これはこれで別の良さがあるのですが、WAの感動には遠く及びません。
こういった理由で、今はセカンドのためだけに働いてるような状態です。頭の中は「Pembertonは楽しかったな」「シドニーに帰ったら○○しよう」「日本に帰ったら○○しよう」でいっぱいです。オーストラリアに来てから、今が一番時間が経つのが遅く感じます。
絢也さんが2年もワーホリしてるのって、尊敬するんです。「よくやることなくならないな」「よく飽きないな」って思うんです。恐らく、僕なんかよりもっと大きな野望があるんだと思います。以前に「起業の準備が完了するまで日本に帰りたくない」って言ってました。(ちなみに、絢也さんにも相談をしてます)
いずれにしてもあと1週間してシドニーに帰ったら楽しい友達とたくさん会えるので、今ウジウジしてたことなんて忘れてしまうと思います。それに、なんだかんだ言って途中で日本には帰らないと思います。
もしかしたら、中島さんが「もう帰ろ」と思ってから健康食品ビジネスに芽がでてきたのと同じように、自分にもこれからもう1つイベントが起こって、今の悩みなんて杞憂に終わるかもしれません。でも、それでは根本の部分を解決しないままウヤムヤになって、後味の悪いワーホリになってしまいそうで怖いです。
それに、今のこの状態を「仕方ない」と自分に言い聞かせて、ガーデニングしながら時間が経つのをひたすら待つ、なんて耐えられません。
別に"解決"しなくてもいいのですが、自分への折り合いのつけ方みたいなものをアドバイスしてもらえると助かります。
よろしくお願いします。
PS. 12月4日に88日が終わってシドニーに帰ったら、ラウンドの報告を直接しに伺います!
が、所持金がヤバい(800ドルあるけど帰りの飛行機600ドルくらいなので、実質200ドル)なので、まずはジャパレスを見つけて、収入の見通しが立ったらまた連絡します。
田村さん→柴山
田村です。
えーと、これはかなり喝を入れた方がいいかもしれないですね~(笑)
こんなこと言ってるようじゃ、柴山さんの人生見えましたね。
典型的な日本のサラリーマンで、それ以上でもそれ以下でもないなって。
てかね~、最初の頃から何度も口を酸っぱくして言ってる部分が全く解消されてないじゃん!
これまで何をやってたの?せっかく山籠りの修行やってるのに、それが出来るまで「山から降りてくるな!」って言いたいですね~。
何を言ってるかといえば、あなたが望むことは、ジジーの回想願望であって「昔は良かった」系のことばっかじゃん。
それの何が悪いかわかる?
新しい喜びや、楽しさ、新しい地平、発想、パースペクティブ、パラダイム、、そういったものを何ら創造しようとはせず、既に知ってる出来合いの楽しみしか手駒がないってことです。
もっと悪いのはそれに疑問も感じてないこと。
結果的に見つかりませんでしたってのはまだ全然いいんだけど、そもそも探す気がない、自分の楽しい感覚をどんどん新開発していくって意欲もない。
つまりは創造性が枯渇している。
創造性を生み出すもと、発想の海になるべき世界観が全然広がってないこと。
そして、ワーホリ、ラウンド、ウーフについても、手垢のついた既成概念のイメージでしか捉えられてないこと。これまで人類が全く考えもしなかった、全く新しい概念でワーホリやウーフを捉え直すとか、そういった部分が全くなくて、ありきたりのマニュアルや課題としてしか捉えられてない。
・「将来の方向性を模索する」という目標を達成できたので、ワーホリを続けるモチベーションが下がっている
これがまずダメで、その程度のレベルの「模索」でいいの?
こんなんじゃ、ちょっと一波や二波くらったらひっくり返っちゃうんじゃないの?
「分かった!」と思ったらその感覚は大事にするけど、でも、「本当にそうか」で再吟味し、叩き壊し、また錬成する。「もっといいのがあるんじゃないか?」の可能性を考え、さらに「そもそもそういう問題なの?」と問題構造それ自体を一次元上にもっていく。
もう餓狼のように、もっとないか、なんか無いか、これでいいのか?もっとあるんじゃないか?って考えるなといっても考えてしまうくらいが普通でしょ。努力してそうなるんじゃないよ、ほっといても「普通にそうなる」って感じでなければ、なんのためのワーホリなのよ。
総じて言えば、自分が既に持っているパターンや概念で全てを処理しようとする。
だからすぐにネタ切れになる。
言葉にしてマニュアル化出来るもの、問題=解決形式に落とし込みやすいカタチに弱いし、そのカタチになったらうれしいし、それで満足してまいがち。
JUNJUNについて、
> 恐らく、僕なんかよりもっと大きな野望があるんだと思います。以前に「起業の準備が完了するまで日本に帰りたくない」って言ってました。
野望とかそういうレベルで処理してる時点で違うと思う。偏差値高ければ偉いみたいな発想ではないでしょ。もっともっと、およそ考えたこともないようなサムシングを探しているんでしょ。
あなたは考えたこともないものを探そうとはしておらず、考えたこと、知ったことのパターンしか探してないじゃん。自然が多いとか、友達とバカ話とか、単にウーフは88日とか、金稼ぐんだったら現地のファームの方がずっと効率良いけどジャパレスやるとか、みなかつて知ってることばかり。
一番理想的な(こう書くとこれをまた努力目標とか、「出題」みたいなクソフォーマットが考えるから言いたくないんだけど(笑))、「なんだかわからない黒いカタマリ」みたいな、言葉で言えない、絵にも描けない、そもそもあるんだかないんだかもわからない、一種の気の迷いといっちゃそれまでなんかもしれないってのが、天から降ってきたサムシングだと思います。
・正直、旅疲れしました。町を移動→住むところや仕事やウーフなどを探す、という一連の行程がルーティンワークと化してしまい、これを続ける意欲がありません。早く快適なシドニーで腰を下ろしたいです。
もっと疲れなさい~。
疲れて疲れて、もうダメ~みたいになると、人間の身体というのは良く出来てきて、身体も意識も自然と変わるから。それこそが欲しいんだわ。
「息を止めて頑張る」みたいな頑張り方だと変われない。肺呼吸がエラ呼吸にならない。「進化」が起きない。
以上の次第で、あなたの今のまんまいくと、既に決まっている枠組みから一歩も出られない、出ようとすらしない、出ることすら発想できないという、典型的なサラリーマン的な感じになっていっちゃうだろうなあって、そう思いますね。
人生でもっとも恵まれている筈の環境においてすら、そうだとしたら、日本のあの分厚い岩盤みたいな現実に取り囲まれたら、あと数年もしないうちに、「俺ももうトシだしい~」「もうちょっと若かったらやってるんだけどね~」とか言ってんじゃないかな~。
> PS. 12月4日に88日が終わってシドニーに帰ったら、ラウンドの報告を直接しに伺います!
88日なんかカウントしてるようだったら、来なくていいです。
指折り数えて懲役何日みたいなことをする人は、多分今後一生そうやって生きていくだろうから、あんま刺激がないので面白く無いですもんね~。
ということで、喝!です。てか、ちょいムカついてます。
柴山→田村さん
柴山です。お返事ありがとうございます。
自分でも「この状態はよくないな」と思いつつも、自分ではどうにもできなさそうだったので、正直に書いてしまいました。
喝を入れてもらってよかったです。でも、本来は喝を入れられなくても自分でなんとかすべきだったとも思います。
自分の中の天使と悪魔じゃないですけど、「全部の経験に違った良さがあるんだから、この家庭を楽しまなきゃ!」という自分と、「もう淡々と過ごせばいいじゃん。その方が楽だし」という自分がいて、悪魔が圧勝していたせいで天使側の声がほとんど聞こえてきませんでした。
今から本腰いれて形勢逆転させます。
残り2ヶ月のプランも、白紙にして考え直します。
人生でもっとも恵まれている筈の環境においてすら、そうだとしたら、日本のあの分厚い岩盤みたいな現実に取り囲まれたら、あと数年もしないうちに、「俺ももうトシだしい~」「もうちょっと若かったらやってるんだけどね~」とか言ってんじゃないかな~。
全く同じことを先週感じました。
「一応日本のニュースもチェックしておこう」と思って、図書館のパソコンで日本のネットニュースを見ていた時、最初は陳腐に見えていたのですが、10分もしないうちに日本の頃のあの感覚が戻ってきました。まるで自分のアパートにいる気分でした。
ワーホリが終わって成田空港からアパートに帰ったら、すぐに日本のスイッチが入ってしまうんじゃないかって予感がしました。
自分の中のラクしたい願望にすら負けてしまうということは、日本の高気圧の中に戻ったらすぐに押しつぶされる、ということですよね。
つまりは創造性が枯渇している。
一番苦手な「創造性」を、目の前に突き出されてしまいました。
将棋でもハガキ職人でもその他なんでも、型を離れて自分の世界を繰り広げるのが出来ず、その前の段階から前進できずにいました。
「5ヶ月ラウンドやったから、少しは克服できてるかな」と思って先日試してみたのですが、新しい何かを創造するのは相変わらず苦手なままでした。
今考えると、そもそも根本が改善してないから当然だと思います。
ここからが本当の戦いですね。
シドニーからパースへ行ったときは情報ゼロだったので、移動方法からファームの探し方まで、自分で考えて試行錯誤しながら作り出すしかありませんでした。あれと同じくらいの挑戦をまたしたいと思います。
具体的に何をしたらいいかすぐには思いつきませんが、とりあえず今のウーフを思いっきり楽しむことから始めようと思います。今までは正直楽しくありませんでしたが、発想を変えればここならではの面白さが見えてくるかもしれません。その「発想を変える」のが自分にとっては難関ですが、また試行錯誤しようと思います。
このウーフの後ですが、やはり気持ちを切り替える意味でも環境をガラリと変えたいので、シドニーなどの都市部に移動しようかと思います。でも、語学学校時代の再現ではなく、今までとは違う発想でイチから作り上げて、以前とは全く違う生活にします。あえて勝手が分かっている場所を選んで、そこでどれだけ新しいことができるか挑戦してみたいです。
まだ大雑把にしか考えていないので、やっぱりファーム探しに行くかもしれません。
いずれにしても今までの「楽しくなる方法」は意地でも繰り返さず、別のサムシングを探す旅を今日から始めようと思います。
それと自分で気付いたのですが、もしかしたら「ワーホリは1月末で終わり」と思っているから、ゴールが近づくにつれて気が抜けているのかもしれません。
「100m走は120mでゴールだと思って、最後まで全力で駆け抜けろ」というアドバイスがあるのと同じように、ビザが4月に切れるつもりでいようと思います。
そして、ワーホリ、ラウンド、ウーフについても、(中略)ありきたりのマニュアルや課題としてしか捉えられてない。
自分にしかできない旅をしていたつもりでしたが、いつの間にか無意識にパターン化していたことに気付かされました。
田村さんのお返事のこの部分を読んで「田舎のオージーにもっと話聞いとけばよかったな」と思いました。日本のおじいちゃんやおばあちゃんが戦争の話をしてくれるように、もっとオーストラリアの内部の鼓動を聞くための会話ができたんじゃないかと後悔しました。
考えれば、自分らしい旅にするための工夫が何個でも思いつきそうです。
分かった!」と思ったらその感覚は大事にするけど、でも、「本当にそうか」で再吟味し、叩き壊し、また錬成する。「もっといいのがあるんじゃないか?」の可能性を考え、さらに「そもそもそういう問題なの?」と問題構造それ自体を一次元上にもっていく。
今まで「分かった!」と思ったことを含め、考えたことは日記に付けてあるので、疑いの目で読み直して、自分の考えを再検証してみようと思います。
いつも間違いの根本の部分を指摘していただいてありがとうございます。メールを送る前に何日も自分で考えましたが、正しい解決が全く見えませんでした。まだまだ頭が固いです。
田村さんのお返事を10回以上読んで、今返事を書いて、気持ちが切り替わったので、新たな気持ちで臨めそうです。
本当にありがとうございました。