南三陸への移住事情

最近「地方移住」がブームになっているのと同時に、その問題点が浮き彫りになっているという話を時々聞きます。例えば元々そこに住んでいた人が移住者のことを「部外者扱い」して追い出す。しかも移住直後ではなく、数年たってからそういったトラブルが起き始める、などです(参考サイト)。
しかし、南三陸の移住者が多くいるにも関わらず、全くそのような印象を受けませんでした。むしろ、”自然に” かつ ”その場所ならではの方法で” 元々住んでいた人たちとなじんでいるように見えました。

僕から見て、彼らが具体的にどのような形でなじんでいたかを、主観を交えながら簡単なレポートのような形でまとめてみます。

結論を書くと、ボランティア活動が「現地の人」と「外から来た人」の架け橋です。
外から来る人がボランティアをしに来ているため、現地の人に受け入れてもらいやすくなっているのだと思います。

南三陸の主な登場人物

現地の人
震災の前から南三陸に住み、震災の後も南三陸に住んでいる人たち。ズーズー弁のため、何と言っているかよく分からない(笑)
東日本大震災では街を飲み込まれ、大事な人も失い、心に傷を負っている人たち・・・テレビを見ているとそんな風に見えるかもしれないけど、全くそんなことはありません(少なくとも僕はそう思う)。むしろ、5年前のことは完全に乗り越えて昇華(消化)し、より一層明るく力強く暮らしているような印象を受けました。
テレビのドキュメンタリーなどであの時のことをイベント扱いされ、「1日も早く復興してほしいです」などと放送されたときには、町全体が腹の底から煮えくり返っているのをひしひしと感じました。彼らと一緒にああいったテレビを見ているのは本当にツラかったです。見たくなくても、NHKの番組予告などで津波の映像とかを見せられるんですよ。

ボランティア
震災をきっかけに、被災地へ多くのボランティアが訪れました。南三陸の場合は東北ファミリアというボランティア団体があり、震災から5年たった今もコンスタントに毎週末東京から人を送り続けています。
僕は他の団体については知らないので東北ファミリアについてしか書くことができませんが、実際に現地に行ってみると、活動はあまりボランティアらしくありません。主にワカメ仕事などの手伝いをするのですが(季節や天候にもよる)、バイト初日の人に手取り足取り教えるのを思い浮かべてみれば分かるように、働いている側はむしろ足でまといになっているような気すらします。でも、楽しい。だって、自然は綺麗。人は優しい。ご飯はおいしい。震災のことについて話を聞くことができる。しかも、例え力になれなかったとしても、自分が来てくれたことで現地の人は喜んでくれている。「ボランティアをしに来た」なんてことはどうでもよくなります。

「南三陸はいいところだな」

彼らはボランティアでも、観光客でもなく、"よき理解者" または "よき仲間" として町民に受け入れられます。
ちなみに、参加者はリピーターが非常に多いです。

「彼らはボランティアではない」と書きましたが、でもやっぱり「ボランティア」として南三陸に来ている点は重要だと思います。詳しくはココに書きましたが、ボランティアとして来る人はとてもいい人が多いような気がします。大事な土日にお金ももらえないのに(むしろ交通費や宿代を払ってでも)力仕事をするために喜んで来てくれる人たちだから、そこで「いい人」だと保証されているのだと思います。そして、南三陸の人にとっても、そういう人たちが来てくれるのだから安心できる。
来る人も楽しめるし、受け入れる側も嬉しいという win-win の関係にあるのです。
そして、彼らの中から「ボランティアで来ていたら南三陸が好きになっちゃって、引っ越してこっちに住むことになりました」と言う人がいれば、喜んで「ようこそ」と言ってもらえる。

そうやって、南三陸の「中の人」と「外の人」が、いい形でつながっているのだと思います。

もちろん、外から来る人がボランティアであるがゆえに受け入れられやすくなっている、という構造は南三陸固有のものです。他の地方の町でも全く同じ方法が通用するわけではありません。
しかし、僕が南三陸に1ヶ月住むまでは現地にそのような構造があるなんてことを想像できなかったのと同様に、他のところでは僕が想像もしないような ”その場所ならでは” の方法で調和する道があるのだと思います。

冒頭の話に戻りますが、地方移住ブームに関するTV特集などを見ていると「反都会生活」とか「スローライフ」とか、そういった余分な意味づけがなされている点に違和感を覚えます。地方移住ってそういうことじゃないでしょ? それに、そんな目的で引っ越して、移住される側は嬉しいの?

南三陸には本当の意味での「地方移住」とは何なのか、についてのヒントが隠れているように見えました。

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Page Added : 2016/04/08