ライブを3ヶ月で12ステージ見たので全部感想を書く(後編)

更新: 2023-05-20  投稿:
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前回に続き、5~7月に見たライブの感想です。今回は後半。

5月 蓮沼執太フィル、在日ファンク、John John Festival、Nulbarich、優河
6月 VIDEOTAPEMUSIC、D.A.N. 、cero
7月 キセル、在日ファンク、H ZETT M、ハッチハッチェルバンド

2018年6月15日 cero “POLY LIFE MULTI SOUL” 発売記念全国ワンマンツアー  @ 名古屋ダイヤモンドホール

めちゃめちゃ楽しみにしていた cero のレコ発ツアー。最新の4thアルバム「Poly Life Multi Soul」は最高で、毎日のように聞いていました。すごいと思っていた前作の「Obscure Ride」 が物足りなく感じるくらいです。前作はロバートグラスパーに影響を受けた、日本でブラックミュージックが流行りだすきっかけとなったアルバムでした。これは当時最先端ではありましたが、そのあと似たような曲があふれ(それこそNulbarichとか)、すごいんだけど他の追従を許す作品でもありました。でも、今回のアルバムは、ちょっと他の人は追従できないんじゃないかと思うほど飛び抜けてます。

この日のセットリストは、ほとんどアルバムの曲順のまんま(夜になると鮭は はなし。Double Exposure と Buzzle Bee Ride は逆だったけど、あれはメドレーがやりたかったのだと思う)。各曲の間に、前アルバムの「Obscure Ride」と 前シングル「街の報せ」から似た要素を持つ系統の曲(でも今のモードに合わせてかなりアレンジされてた)を挟んで、1時間のアルバムを、雰囲気そのままで2時間に拡大したライブでした。このセットリストは間違いなく、今回のアルバムに対して相当な自信を持っていることの表れだと思います。
フジロックもこのあとに出てましたが、ツアーのセットリストを短縮したバージョンだったので、やっぱワンマン行ってよかったです。

「Poly Life Multi Soul」 は僕としても最高の作品だと思うし、各所であまりに絶賛されているのですが、そうすると少し不満点を挙げたくなってしまうので、1つだけ・・・。いや、本当に些細なことなんだけど・・・。
1つだけ不満をあげるとすると、ライブで「薄闇の花」の手拍子のリズムが簡略化されていたことです。録音では|○●|●○|●○|○●| っていう、ちょっと凝ったリズムだったのに、ライブでは|●○|●○|●○|●○| という普通の4拍子だったと記憶しています。cero って、5連符とかクロスリズムとかメトリック・モジュレーションとか、難しいことでもお客さんに手加減なく(でもポップに)披露する人たちだと思っていたので、これを聞いた瞬間は拍子抜けでした。cero のインタビューを読んでは知らない単語をググって、解説動画とか見て勉強して、cero の進化にリスナーとしておいていかれないようにしていたので、レベルを下げられたようでちょっとだけ残念でした。

2018年12月追記
 上記は無責任にも、あいまいな記憶をもとに不満を書いてしまったので、この前ライブに行ったときにバッチリ確認してきました。確かに小田さんは|●○|●○|●○|●○|のリズムでしたが、古川さんは|○●|●○|○●|●○|、各銅さんは|●○|●●|●○|●●| と、それぞれ異なるリズムでハンドクラップしていたんですね。ライブDVDでも確認したので、間違いないと思います。音源とは異なるアレンジになっていて、別にレベルを落としてシンプルにしていたわけではないということが分かりました。
全然話は変わりますけど、アンコールの最後「わたしのすがた」は感動でした。サンプラーを使った昔のアレンジに戻っていてびっくり。これからのceroが進む方向の、どのような伏線になっているのでしょうか。

2018年7月1日 在日ファンク「足元」発売記念ライブ 〜DIRECT SELL〜  @ 東京キネマ倶楽部

キセル

在日ファンクの対バン。正直在日ファンクが目当てだったので、全然予習していなかったのですが、しっとりと落ち着いた感動的な演奏でした。キセルってサンプラーとか使うイメージがあったのですが、だいぶ前からそのようなスタイルから変化したらしく(情報が古いままだった)、普通にバンド編成でした。
今回は、ぎゅうぎゅう詰めのキネマ倶楽部でスタンディングでしたが、次キセルを見るときは、もうすこしゆったりしたところで座ってドリンク飲みながら聞きたいなと思いました。

在日ファンク

これで15回目です(笑)
7インチ発売ライブということで、ここ最近ライブでよく披露していた「足元」「或いは」が会場で発売されてました。これを買うために東京まで行ったようなものです(笑)
この日のライブでも当然披露されて、この2曲が山場になるようなセットリストでした。他の曲は過去のアルバムの代表曲が主だったので、シンプルに新曲を前に押し出されていたように感じました。ライブ終了後の握手会に参加できたのも嬉しかったです。

ライブのMCで、9月に恵比寿LIQUIDROOMでワンマンライブが開催されると告知がありました。多分このライブで、次のアルバムの発売が発表される(年内に発売かな)と予想しているのですが、どうでしょう。

2018年7月7日  H Zett M 独演会  @ 多治見バロー文化ホール

H Zettrio で活躍するピアニスト H Zett M のソロライブです。
とぼけたピエロのようなキャラで子供に人気の H Zett M 。この日のホールの会場は家族連れが多く、自分がよく行くライブハウスとは全く違う客層でびっくりしました。

H Zett M 独演会は過去ライブが YouTube に公式でたくさんアップされているのですが、この「チョコボのテーマ」を見てから、絶対に生で見たいと思っていました。ピアノ独演会のカタいイメージとは真逆に、サンプラーを使った、趣向の凝らされた演奏です。

この日も「チョコボのテーマ」ではありませんが、サンプラーでピアノの音を重ねていく演奏は健在でした。
他にも、演奏の途中で事前に録音したらしい H Zett M の声で、岐阜の特産品などを解説する音声が流れ(陶磁器の生産が日本一。粘土の中に含まれるケイ酸が過熱することでガラスになって固くなるとか、やたら詳しかった(笑))、その間本人は演奏せずステージ上をぶらぶら歩いたり、グランドピアノの側面を「つるつるできれいだな」みたいな表情でなでたりと、H Zett M らしくやりたい放題で楽しかったです。

後日 musicman-net でライブレポートがアップされていたのですが(追記 後日リンク切れ)、H Zettrio の曲のフレーズ、特に最新アルバム「Mysterious Superheroes」からのフレーズがたくさん散りばめられていたらしいです。アルバムは4~5回通して聞いただけなので、会場で2つくらいは気づきましたが、ほとんど分かりませんでした。原曲を知っていたらより楽しめていただろうに、予習がそこそこだったことが悔やまれます。

2018年7月23日 休憩明けハッチハッチェルバンドツアー  @ 今池 得三(Tokuzo)

ムジカ・ピッコリーノで知ったハッチェルさんのバンドです。演奏も楽しみでしたが、この日の本当の目当ては、 tokuzo というライブハウスでした。多くのミュージシャンに愛され、小さいキャパにも関わらず名だたる大物がくるという噂のライブハウス(兼居酒屋)に行ってみたかったのです。tokuzo に行けるなら、ちょっと知ってるくらいのアーティストでいい!と思ってライブ予定としばらく前からにらめっこしていたところ、やった!ハッチェル来るじゃん!ということで、チケットを手に入れました。

この日はテーブル形式で、みんな座りながら、ドリンクを飲みながら見るという気楽なスタイルでした。ていうか、ライブが始まる前、会場の後ろで普通にハッチェル談笑してるし、普通にトイレに行って戻ってくるし(笑)
自分のような初ハッチェルのお客さんは少なく、みなさん常連のようでした。

ほとんど予習せずに行ってしまったので、どの曲もその場で初めて聞くものばかりでした。全体的に、おじさんのギャグとか自虐とかの歌詞が多いんですね。俺たちは出来損ないのバンドだとか、ビールが飲めなくなりたいとか。それがエンターテイメントとして音楽に乗って提供される感じで、笑いっぱなしでした。でも、ときどき「太陽の讃歌」みたいなめちゃめちゃいい歌詞の曲もあって、そういった緩急がにくいです。
物販では過去のライブDVDも売られていたので買いました。半分くらいがこの日に演奏されていた曲と重複していたので、おそらくハッチェルバンドとしては鉄板のセットリストだったのだと思います。でも、2曲くらい新曲ありましたよ。1曲は忘れましたが、1曲は走行距離20万キロで譲り受けた車が、ついに50万キロを突破したことを祝福するような歌でした。

tokuzo には9月のCRCK/LCKS でも行くので楽しみです。こっちは多分スタンディングだろうな。tokuzo のまた違った顔が見れるのが楽しみです。

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