2017年10月18日

『ムジカ・ピッコリーノ』の解説VTRのベスト3を勝手に決める

NHKのムジカピッコリーノで、アリーナが卒業してしまいますね。
番組が終わるのか続くのかは分かりませんが、いずれにせよ、1つの区切りとなるのでしょう。

ムジカ・ピッコリーノ 公式HP

さて今回は、ムジカ・ピッコリーノを第1回からずっと見ているファンの私が、独断と偏見をもとに、面白かった解説VTRトップ3を選びたいと思います。
曲ではなく、あえて物語中に挿入される解説VTRに焦点を当てます!

今回は番組を知っている人向けに書きますので、番組内の用語は解説なしでバンバン使っていきますので、よろしくです。
あと、録画が残っているわけではないので、ぜんぶ記憶をもとに書きます。細部は違ってると思いますが、あしからず。

● 音を並び替えると (上を向いて歩こう / 坂本九)

第1回の最初の解説VTRですが、その前に・・・
このVTRを見る前からすでに、だいぶ期待は高まっていました。ハマケンが出る音楽番組は面白いっていう前例があるから(詳しくは後述)、見る前から楽しみにしていたのですが、さらに始まって最初の数分で、世界観に惹きつけられました。「おお、この番組はなかなかいいんじゃないのか?」と胸を高鳴らせていました。
第1話のストーリーとしては、モンストロが発するのは「レミソソソラシ」の音。「これを正しい順番に並び替えれば、モンストロがよみがえるはずだ!」「でも、並び方は全部で840通りあります」というところで、「音を並び替えると」というナレーションとともにこのVTRが挿入されます。
VTR内には「レミソソソラシ」の子供用の鉄琴が用意され、小さな階段(ピタゴラスイッチ的な)に設置されます。上から小さなボールを転がすと、ボールが落ちた衝撃で順番に音が鳴るというものです。
1通り目は「レミソソソラシ」。鉄琴を並び替えて、2通り目は「ミソシソレラソ」。3通り目は…のように、次々に鉄琴を並び替えてはボールを転がし、右上のカウントは1,2,3・・・と増えていきます。最後に8通り目の「ソソラシソミレ」の音が鳴ったところで、画面真ん中に「残り832通り」と出て、VTRは終わるのですが、実は最後が正解。「上を向いて歩こう」の出だしのメロディーになっているのです。
この1分ほどの短いVTRを見た瞬間、あまりの分かりやすさに衝撃を受け、「この番組はアタリだ!!」と確信しました。それがきっかけで今までの5年間見続けてきたわけですが、あの時の確信は時がたつごとに確かなものになっています。
そういえばちょっと前の放送で、久しぶりにアリーナがドットーレとペペさんと『上を向いて歩こう』を歌い、最初に治療したモンストロと久しぶりに再会したシーンは、ちょっと感動的でした。

● デスボイス (Aces High / IRON MAIDEN)

デスボイスの解説VTRです。このVTRはショートドラマ仕立てでした。
とある若い女性が、彼氏に振られるところから物語が始まる。帰り道をトボトボあるいていると、知り合いのおじさんと再会し、海へ連れて行ってもらう。
「そっか、○○ちゃん彼氏にフられっちゃったんだ。そういうときは、海に向かってバカヤローって叫ぶんだよ」とおじさん。
バ、バカヤロー
「そうじゃなくて、もっと大きい声で」
バカヤロー
「そうじゃなくて、こうやって叫ぶんだよ」
と言っておじさんが上着を脱ぐと、全身に甲冑のような衣装。
「バカヤ ロ~~~~!!!!」とデスボイス(というか、金切り声)で叫ぶ。
女性も負けじとデスボイスで「バカヤ ロ~~~~!!!!」(この女の人、声楽やってる人だと思う)
「そうその調子! バカヤ ロ~~~~!!!!」
「バカヤ ロ~~~~!!!!」
という、これも1分ほどのVTR。
これに限らずだけど、ムジカ・ピッコリーノの解説VTRの中で、ショートドラマ仕立ては面白いものが多かったですね。芸術的な「感性」を分かりやすく説明するために、音楽の枠を迷いなく「ひょいっ」と飛び出し、ジャンル問わずあらゆるものを吸い込みながら形にする表現力は、見習わないといけないと思いました。

● サンバをゆっくりにするとボサノバになる (イパネマの娘 / Astrud Gilberto)

これもショートドラマ仕立て。舞台は小学校の教室。
男の子が女の子に告白しようとしている。手にはバレンタインのチョコレート。横にはBGMとして、ギタリストがゆったりとしたテンポでボサノバのメロディーを弾いている。
男の子「あの、○○ちゃん・・・・・僕・・・○○ちゃんのことが、、、」
次第に男の子が緊張をし、心臓の音がだんだんと早くなる。
早くなる心臓の音に合わせて、ギターのメロディーもだんだんと速くなる。
ボサノバのメロディーが早くなったところで、横からサンバのカーニバルが登場。教室内でサンバの衣装を着た女性がステップを踏み、男の人はホイッスルを鳴らしたり、タンバリンをたたいたりする。
女の子が「落ち着いて」というと、男の子の心臓の音はだんだんとゆっくりになる。
それに合わせてギターのテンポもゆっくりに。
サンバのカーニバルもだんだんと画面の外へはけていく。
男の子「あの、○○ちゃん・・・・・僕・・・○○ちゃんのことが、、、」
と再び告白しようとするが、やはり緊張をし、心臓の音がだんだん早くなる。
早くなる心臓の音に合わせて、ギターのメロディーもだんだんと速くなる。
そして再び、サンバカーニバルの登場。派手な衣装を着た女の人は踊り、男の人はホイッスルを鳴らしたりタンバリンを叩いたりする。

これは笑った。秀逸だったなー。

似たようなストーリーではあるけど、ガタンゴトン (Chaiyya Chaiyya) も面白かった。

今気づいたけど、これって全部第1期ですね(笑) 他にもいいのがたくさんあるので、感想少なめですがズラっと並べていきます。

□ 野菜ラップ (東京ブロンクス / いとうせいこう)

野菜とラップっていう組み合わせが面白かった。あと、これを見て以降、東京ブロンクスはお気に入りに曲になりました。

□ 手拍子 (La Cumparsita)

客が居眠りしているウェイターを手を叩いて起こす。ウェイターは手拍子と足踏みをしながら客のところへ寄ってくる。2人は至近距離で向き合って、手拍子・足拍子のセッション。最後に手をたたいて料理をほめる。

□ トロンボーンのミュート (Chattanooga Choo Choo / Glenn Miller)

同じ曲を、違うミュートで聴き比べするVTR。多分ミュートの解説方法の中で、これより分かりやすいものはないんじゃないかと思う。
まったくひねりのない直球の解説だったけど、そのひねりのなさが、この番組としては逆にひねってあるように感じられました。

□ パンデイロ (Mas que nada / Sérgio Mendes)

パンデイロ1つでドラムセットの音が再現できることを解説するVTR。
何もないところで、女の子が椅子に座り、ドラムをたたくふりをする。エアギターならぬエアドラム。しかし、ないはずのドラムの音が聞こえてくる。しばらくすると横からパンデイロをたたく男の人が登場する。音の正体はパンデイロでした、というVTR。

□ ギターのカッティング (ラブ・ストーリーは突然に / 小田和正)

真面目そうな解説のお姉さんが、メガネとカツラを投げ飛ばして踊り始めるオチで吹いた。

□ ハーモニー (Don't Stop Me Now / Queen)

『Lollipop』のハーモニーがめっちゃきれいだった。ていうか、第5期は cero のサポーター率が高かった。角銅真実、古川麦、Smooth Ace。そのへんの人脈つかって引っ張ってきてるのかな。他の人たちも、全員しっかり調べてみると、つながりが見えてきたりするのかも。

□ 鳩ぽっぽのサンプリング (One More Time / Daft Punk)

同じ曲を並び替えると違う曲になる、という解説。同様『鳩ぽっぽ』がサンプラーでめっちゃかっこよくなった。
VTRに出演した KEIZOmachine! さんが、番組でやったのとほぼ同じ内容の動画をアップしていたのでリンクします。

□ 言葉の響き (Ievan Polkka)

金剛地武志がドラムをたたいた後、なぜかドラムが食卓に変身する。しかし、目の前に置かれた「コップ・カップ・サラダ・だいず・とろろ・フライパン」など組み合わせて叫ぶことで、言葉の響きだけでドラムの音を再現してしまう。目の前のものが習字セット・色鉛筆などに変わっても、さっき叩いたドラムの音色を再現してしまう。考えてるときの金剛地武志の顔が面白かった。
「食卓に乗っているものを組み合わせて、ドラムの音を再現する」っていうのが分かりにくいと思うので、解説します。こういうことを書くのは野暮だと思うんだけど・・・。
まず「コップ・カップ・コップ・カップ・・・」と交互に繰り返すのが、8分音符でハイハットを鳴らしながらバスドラとスネアを交互にたたく「ドッ、カッ、ドッ、カッ」っぽくなっています。次に「とろろとろろとろろ」と繰り返すのが、タム回し。最後に「フライパーン!」がシメのクラッシュになっているわけでございます。

さて、こんなところでしょうか。思い出したら追加するかもです。
ちなみに、「番組の大ファン」って言いながら今さらなのですが、全部の回を見てるわけではないので、見逃してるのもだいぶあります。パソコンはよく録画失敗するし、何より第2シーズンの時は1年間オーストラリアに行っていたから、丸々見れてないです。再放送もチェックしてましたが、全部は拾えていません。すいません。

そういえば、「ハマケンが出る音楽番組は面白い」って話がありましたね。

「前例」って書いたのは、SMJ(全日本スキマ音楽)っていうラジオ番組のことです。
ハマケンってトロンボーンが専門で、ギターもシンセもボーカルもできるミュージシャンではあるんだけど、それと同時に、演技ができる役者でもあるし、キャラも立っててバラエティ的にも面白いんですよね。だからハマケンが出る音楽番組は、音楽以外の要素も取り入れた感じで作ってあって、「ただの音楽番組」にならないから、複合的・階層的で面白いんですよ。前述のSMJってラジオ番組では、ハマケンの弱気だけど憎めない感じのキャラが東京03の角田によって存分に引き出されていて、ほっこり笑えるフリートークだったし、でも音楽的にもあらゆるジャンルにMIDIで挑戦するのが面白くて、聞く側としては勉強になって、オークラさんの歌詞も素晴らしく(これがデカい)、最高に面白い番組でした。SMJを聞いて「ハマケンの出る音楽番組って面白いんだな」って気づいて、今回のムジカ・ピッコリーノも楽しみにしていたわけです。

ああ、なんだか書きたいことがいろいろ湧いてきた。

次の記事では、ムジカ・ピッコリーノを見てきて思ったことを全部書きだそうと思います。

2017年10月25日

『ムジカ・ピッコリーノ』への思いを全部書きだす

前回の続き。

タイトルの通り、5年間NHKのムジカ・ピッコリーノを見てきた感想を、全部書きだそうと思います。

今回も前回同様に番組を知っている人向けに書きますので、番組内の用語は解説なしでバンバン使っていきますので、よろしくです。

第1~2シーズン

・演奏での「工夫」っていう意味では、このシーズンが一番好きだった。
ドラム・ギター・ピアノ・トロンボーンっていうだいぶ無理のある編成であらゆるジャンルに挑戦していたのが、見ていてワクワクした。例えば『Chaiyya Chaiyya』は、正直「これインド音楽やってるけど、インド音楽になってないんじゃない?」って思ったし、他にもそういう回は結構あった。でも、本当にインド音楽が聞きたいならインド音楽のCDを買えばいいわけで、NHKの教育番組っていう背景も含めて、出演者が子供・大人関係なく、みんなでどんな音楽も楽しく演奏している姿はとても好印象だった。『You can't hurry love』に至っては、もはや演奏を放棄して3人でタンバリン叩きながら歌ったり、『コンドルは飛んでいる』ではみんなで不慣れなリコーダー吹いたり、次は何を見せてくれるんだろうという面白さがあった。このような期待感は、担当楽器がほとんど固定だった第3シーズン以降にはなくて、第1~2シーズンの特徴だったように思う。
・このときってコーラスがすごくきれいだと思う。今これ書きながら久しぶりにCDを聞いてるけど、『You can't hurry love』『北風小僧の寒太郎』のコーラスでは「お!」ってびっくりした。
・モンストロの声って、どうやって作ってるんだろう? 人の声を変えているのか、ボーカロイドみたいなもので全部パソコンで作っているのか、ちょっと気になった。
・『4分33秒』の回はかなりの変化球だったけど、すごく良かった。どこかのサイトに「普段はCG背景だけど、現実世界に舞台を移したのが逆に異世界」みたいなことが書いてあったと思うけど、ホントその通りだと思う。その「いつもと違う感じ」が『4分33秒』っていう現代音楽の突拍子のなさをうまく表現したから、面白かったんだと思う。
・完全に話がそれるけど、NHKのEテレが面白くなってきたのは、このころ(2013年)からですね。『考えるカラス』をはじめ、『知恵泉』『昔話法廷』あたりは見てたけど、いずれも素晴らしいです。

第3~4シーズン

・いろんな楽器について知ることができたのは本当に勉強になった。今まで聞いてきた曲の中で、ちょっとした効果音的に使われてきた楽器にも気が止まるようになって、音楽の聴き方が深くなったと思う。
例えば、ビートルズの『Strawberry Field Forever』のイントロの音色はもちろん知っていたけど、それがメロトロンという楽器だとは知らなかった。 D'angeloの『Another Life』について、どっかで「シタールが使われている」と読んだときも、この番組でシタールについて知っていたからこそ「え、シタール使ってるの?」と引っかかった。知ったうえで改めて聞いたら、一発でどの音がシタールか分かった。
テルミンなんかも、ライブでちょこっと使ってるバンドがいるけど(エルビス・コステロとか)、当たり前だけどテルミン専門のプロ奏者がいるなんてことも知らなった。
・番組CDはどちらもよかった。買う前は本編中のセリフを再構成したラジオドラマが収録されているというのを知って「そんなのいらないから、曲だけ収録してくれればいいよ」と思ってたけど、実際に聞いてみたらいい意味で期待を裏切られた。曲と曲の間に、ブリッジとして本編中の台詞が入っているおかげで、アルバム全体としてまた1つの世界観を作り出していて、ある意味コンセプトアルバムっぽくなっていた。あと、みんな地の声がいいから(特に鈴木慶一とオダギリ・ジョー)、耳あたりがいい。普通にしゃべってるだけなのに「音楽」として聞ける。曲順としては、第1~2シーズンのときみたいに曲とBGMが分かれてるより、適度に混ざっている方がいいですね。
・CDに挿入BGMがフルバージョンで入ってるけど、番組中では10秒くらいしかかからないのに、ゴンドウさんがどれも2分~4分くらいの尺でガッツリ作ってるのにびっくりした。
・チャランポランタンはこの番組で知った。『黒ネコのタンゴ』のコーラスにビビッときたので、Youtubeでいろいろ聞いてみたらよかった。それからマークしてます。来年1月は、岐阜市の柳ケ瀬antsへライブ見に行きます。
・少し不満になるんだけど、第3,4シーズンの解説VTRは面白いのが少なかった。まあ、楽器の仕組みや音の出し方を解説するのが多かったから、どうしても理屈っぽくならざるをえないので、しょうがないとは思う。
・SAKEROCKメンバーが多くて、全国のSAKEROCKファンは結構興奮していたと思う。僕もその一人。解散後だったからなおさら。

第5シーズン

・レオ すげー!というのが最初の感想。初回の『学園天国』でアリーナに「きみ、本当に弾けるの!?」と挑発されて、レオが初めてピアノを弾くシーンは、想像をはるかに上回る運指に度肝を抜かれました。第一印象でノックアウトにする素晴らしい演出だったと思います。他にも、レオを生かした『どれにしようかな 天の神様の言うとおり』のジャズアレンジがあったけど、かなり攻めててかっこよかったです。わらべ歌の回は、第5シーズンの中ではかなり好きな回でした。
・シーズンを追うごとに、演奏中のアリーナの演出がかわいくなっていて、第5シーズンでは一番惹きつけられました。『One More Time』でルチオが「Oh Yeah」と言った後にニコッと笑いかけるシーンとか、『スリラー』の回のホラーをイメージしたちょっと怖い顔つきとか「役者だなー」って思った。『sing sing sing』でソロをレオにじゃまされたシーンは、ルチオもアリーナもすっごくいい顔してた。
・ちょっと期待外れだった点を書くと、楽曲としては「無茶じゃないか」と思うくらいチャレンジしてるのが見たかったな、っていうのが正直な感想。
さっきも書いたように、第1シーズンでは失敗を恐れずに挑戦する姿がよくて、しかもみんな楽しそうだったのがよかった。
第3~4シーズンは演奏してるのが一線で活躍してる人たちばかりだから、どんな曲やってもちゃんとかっこよくなるだろうと期待していたし、実際に期待以上だった。
第5シーズンはというと、プレイヤーがうまいから当然見ていてかっこいいんだけど、みんな10代だし、NHKの教育だし、1回くらい「失敗作」も見てみたかった。ゴンドウさんが大人げなく無茶なアレンジをして、みんながお手上げするくらいの回が見たかったなって思う。そんな中でも、Daft Punkの『One More Time』はかなり攻めてて、第5シーズンの中では一番好きだった。あの感じをもっと発展させて、第3~4シーズンのときみたいに「2年目で爆発」っていうのを見てみたかった。あの編成が1年で終わってしまったのもちょっと消化不良だったんだけど、期待しすぎだったかなー。

来週はアリーナ登場の最終回「修了式」。楽しみにしてます。