2016年6月7日

車に3ヶ月乗ってみて

わりと遠出をするのが好きな性格の割には、今まで全く車を運転してきませんでした。すべて電車やバス、ないし自転車でした。
だけど3か月前に車という武器を手に入れました。今まで拳銃しか持っていない前提で戦略を組み立てていたのが、ロケットランチャーも使っていいことになった気分です。

3か月間経って、運転する前の印象といろいろ違うところがあったので、覚え書きも兼ねてまとめておきます。

●そういう人に限って…
大学時代は車なんて絶対に乗らない派でした。総武線で十分だったので、4年半ペーパーです。
だけどそういう人に限って「車がないと生きていけない!」とか言うんですよね~。って今の僕のことなんですけど。
教習所に行ってた時は、バック駐車なんて「ポールが何本見えたか」を数えないと絶対無理と思っていましたが、今では一発でヒュッと決まります。案外楽しいものですね。
●意外と早くない
車を乗る前は、「車ならどこにでも瞬時に行ける」くらいの感覚だったのですが、意外と早くないんですね。隣町までならなんとなく5分か10分くらいで行けるイメージがあったのですが、結構20分とかかかっちゃうんですね。
例えば、車の平均時速30kmとすると、10kmを移動するのに単純計算で20分もかかります。
でも、僕の高校時代のマラソン大会の記録は、12kmのコースで55分だったんですよ。車での移動って、僕のマラソンの半分よりちょっと早いくらいなの? もっと早くてもいいような気がするなあ。少なくとも、車を運転する前はもっと早いものだと思ってました。僕のマラソンタイムの 1/4 か 1/5 くらいでもよさそうですけどね。
●図体がデカい
今乗っている車は5人乗りです。でもほとんど自分しか乗らない。なんていうか、車で移動してると、すごく無駄な感じがするんですよね。過剰に広いし、あまり一人で乗るのに適している乗り物ではないような気がします。かといってバイクは怖いし。
最適なのは、先週京都に行ったときみたいに、友達4人くらいで乗りあって行く場合。これならサイズもちょうどよくて、車を余すところなく使っていると思います。交通費も割り算して安かった。往復で1人4000円くらいでしたよ。新幹線使ったら軽く1万円以上するはず。
あとは、子供がいるような家族もちょうどいいんでしょうね。夫婦+子供でちょうど車に収まる人数です。家族で旅行に行く場合も、電車賃を人数分払うより、まとめて車にポンと乗ったほうが圧倒的に安くなる。
でも、そうじゃない場合は無駄なスペースを運んでいる気がしてなりません。態度ばっかり大きくて中身がスカスカの政治家みたいな乗り物です。そうやってやたらスペースを取るから、通勤の渋滞がああやって長くなって、、、っていう悪循環。さっき書いたような夫婦の場合も、結局は平日はお父さんが一人で出勤すれば基本スカスカなわけです。ましてや僕みたいな一人暮らしだったら、全長なんて今の 3分の1 くらいの乗り物で足りるはず。
なんていうか、もっと「ちょうどいい」乗り物ってないんですかねー。「車とバイクのいいところを組み合わせた乗り物」とかじゃなくて、もはや車ともバイクとも一線を画すような乗り物が。
せっかく車の自動化も進んでいるようだし、「今まで人を運転していたものを機械がやってくれる」みたいな車の延長線上の考え方じゃなくて、完全に新しい発想の乗り物が生まれてもいいような気がします。まあそれを考えるのがメチャクチャ難しいんですけどね。
2016年6月14日

AVANTI 常連客の「話の聞き方」術

背もたれに寄りかかり、カクテルを飲みながらスラスラと語りだす客。

テーブルに肘を乗せて、身を乗り出しながらその話を聞く常連客。

少し離れたカウンター席で、2人の会話に聞き耳を立てる大学教授。

バーの店内にはジャズが心地よく流れる。

かつてSuntory Saturday Waiting Bar Avantiというラジオ番組がありました(Podcast)。
バーに訪れるお客さんが、常連客と雑談する内容を放送する番組です。もちろん本物のバーで収録しているわけではなく、そのお客さんも客という設定。話の「聞き役」に当たる常連客もそういう設定。
1時間の放送の中でおよそ3~4組の話が放送され、その内容は副題の通り 東京一の日常会話 そのものでした。

客として話をしていたのは、タレントなどの有名人をはじめ、学者、料理家、テレビマン、スポーツ選手など多種多様で、どんな職種の人の話でも聞くことができたのがこの番組の魅力の1つでした。例えば電子書籍の話について、漫画家が「左右のページの境目が湾曲しているところまで計算して描いているのに、電子化された画面で見るとその部分も平面になって見え方が変わってしまう」など、その道のプロしか気が付かないようなことを言っていたのは面白かった。

ただ、全てのゲストが話し上手なわけではないと思います。メディアになかなか出ないような職種の人もたくさん出演していました。
ゲストの話を面白くしていたのが「聞き役」である常連客の人たちです。だいたい固定されたメンツで、彼らの正体は公式には明かされていませんでしたが、その多くは雑誌の編集長だったようです。
彼らについても書きたいことがたくさんあるのですが、この番組について書きたいことがたくさんあるので割愛します。

・・・と思ったのですが、やっぱり聞き役の常連客についてさわりの部分だけ書いておくと、

「この人は話が通じる人だ」って相手にそれとなく伝える

のがすごく上手だなって思いました。例えば地名が出たら「ああ、○○で有名なところですよね」とサラッという。こうやって「私は話が通じる人ですよ。遠慮なくどんな球でも投げてきてください」というアピールをさりげなくしていました。話す側って結構「分かりやすく話そう」とか「ここまで言うと専門的すぎて伝わらないかな」などと考えてしまいがちなんですけど、相手は話が通じる人だとわかれば、手加減をする必要がなくなって余計なことを考えなくて済むから、結構直球で話をするようになるんです。そして、そういう直球の話こそが面白い。もちろんこういう気の利いた一言をサラッと言えるようになるためには、幅広い知識を持ち合わせていないといけないわけで、そこらへんはさすが雑誌の編集長って感じです。

ちなみに付け加えると(さわりだけ書くつもりでしたが、これだけ書かせてください!)「さりげなく」という部分が大事で、聞き役はあくまで「聞き役」ですから、自分はしゃべりすぎたらいけません。心地よく合いの手を入れながら、相手がしゃべりやすいように誘導するのが絶妙にうまいな、と聞きながら感心していました。例えば「ああ、○○で有名なところですよね」だけで止まらずに、間髪入れず「そこで?」と質問して相手に素早くパスを渡す。単に「ああ、○○で有名なところですよね」で止まっちゃったら、自分の知識アピールで終わっちゃいますからね。「そこで?」と話を振って、すぐにボールを渡す。あと、細かいんですが「そこで何があったんですか?」まで言ったらしゃべりすぎで、「そこで?」くらいの軽いトスが一番いい。こういう細かいところも抜群なんですよ。
あとは相槌も上手なんですよねー。ってこのままだとキーボードを打つ手が止まらなくなってしまいそうなのですが、とにかくよく笑う。やっぱり笑顔って大事なんですね。

未だに中二病 真っ盛りの僕はこの番組の影響を受けて、ご飯を食べながら近くのお客さんの話に聞き耳を立ててしまいます。質問して話を掘り下げたい気持ちをぐっと抑えながら、心の中で「大人の仕事の悩みも、結構大学生のバイトが言ってることと似てるんだなー」などとフムフム言ってます。

2016年6月21日

お盆は片手のほうが持ちやすい、と知った21歳の夏

 オーストラリアに1年間住んで、僕の中の大小さまざまな固定観念がプチプチと音を立てて潰されていったのですが、今日はその中のエピソードを1つ。全然オーストラリアっぽくない話なんですけど。
 あまりに小さなエピソードにつき ワーホリ体験記 には書ききれなかったので、ここに書いておきます。

 日本食レストラン(通称ジャパレス)でバイトをしていた時の話なのですが、キッチンでできた料理をお客様のいるテーブルまで持っていくのが僕の仕事でした。
 効率よく料理を運ぶため、一度に定食3人分やラーメン4杯をお盆に乗せて運ぶことが多かったです。
 それまでホールの仕事は一度もしたことがありませんでしたが、自分なりに工夫して頑張っていたつもりでした。

 仕事を初めて1か月くらいたったある日、いつものように料理を運んでいたら、店長(日本人)に引き止めらてお盆の持ち方を注意されました。
 僕は両手を使って、胸の前でお盆を持っていたのですが、店長は「お盆はこうやって片手で持つものなんだよ(図参照)。そうやって両手で持ってるのは、見ていて怖い」というのです。

 それを聞いて僕はイラッとし、「そんなわけない!」と思いました。だって1点で支えるよりも、2点で支えた方が安定するにきまってるじゃないですか。片手よりも両手で支えた方が2倍も力が入るじゃないですか!

 反射的に思ったことを言ってしまったところ、店長はムッとした顔をして(当たり前ですね)、こう反論しました。
 「いいか? 世界中のウェイターが、何百年もこうやって片手で持ってるんだよ。それが片手の方がいいってことの証拠なんだよ。今更お前が革命起こせるわけないだろ?!」

 「くっそー!コノヤロー!何だよその言い方はー!!」と心の中でムカッとしましたが、言ってる内容はあまりに正論だったので、とりあえず「はい、分かりました」と言って足早に次の料理を取りに行きました。
 不服ながらも、早速お盆の片手持ちに挑戦したところ、やはり最初は慣れませんでした。「ほらやっぱり両手のほうがいいんだよ」と思いながら、店長がまだ近くにいたので、しぶしぶ片手持ちを続けること15分。自分でもびっくりしたのですが、なんと慣れると片手で支えたほうが圧倒的に持ちやすいのです!

 理由はいくつかあって、1つは「重心の下を持っている」という安心感でした。重心の下を持つとやじろべえみたいな感じになるので、左右でバランスをとれて結構安定するんですね。一方で両手持ちというのは、結局は力任せなので、この安定感は得られません。
 あとは、両手持ちだと握力だけに頼ることになってしまうですが、片手持ちだと重心の下を腕全体の力で支える感じになるので、かえって力を入れやすいです。

 店長にちょっぴり感謝し、「はぁ、これは楽ちんだ。そりゃ世界中の人がみんなこうするわけだなー」と、自分も一人前のウェイターに仲間入りした気分で、ちょっと胸を張って料理を運べるようになりました。大人の話は聞くもんですね。ほんとに。